起業に必要な知識は、業種や関わる人によって全くと言っていいほど違います。
そのために、自分自身にピッタリと合ったセミナーを選ぶ必要があります。

・全般的な起業セミナー
起業に関する基礎の基礎を学ぶためのセミナーです。
「起業はしたいけど、業種は決めかねている」といった方におすすめです。
この類のセミナーには、すでに起業して成功を収めている方の体験談を聞く形式が多いようです。

・会社の設立や資金調達の手順に関するセミナー
会社を設立するための手順や資金調達の方法や注意点を学ぶためのセミナーです。
この種のセミナーは税理士や行政書士を含む団体が行う場合が多く、セミナー後に契約に誘導されることもあるようです。
専門家に相談することに安心感はあるでしょうが、要注意です。
一方で、大々的なセミナーではなく個別の相談会のようにセミナーを開いている場合もあります。
小規模ならではのメリットとして、具体的な質問ができるということもあります。

・企業例に鑑みるマーケティングと経営
起業を成功させるために重要なのは、立ち上げ後に継続した利益を出すことですが、利益が出せず廃業にする起業家も多いと聞きます。
どのようにして利益を出して経営をしていくのかということに関するセミナーへの参加は、必須と言っていいでしょう。

・各々の業界主催の起業セミナー
希望する業界が明確に定まっているのであれば、業界別のセミナーに参加するのも良いでしょう。
端的に言い切ってしまえば、一般的な知識を学ぶセミナーである場合、自身が目指すビジネスモデルとは関わりの薄い内容を教えられることも多いかもしれません。
もし効率を重視して起業への最短ルートを辿りたいならば、この種のセミナーがおすすめです。

・個性的なセミナー
起業セミナーの中には、学生・女性・地方起業者などを対象とした個性的なセミナーも存在しているようです。
経験に則った具体的な話が聞けるチャンスでもあります。

起業に向けた勉強

起業を検討していたり真剣に考え始めたりしている人がよく気にされることは、企業に向けて何らかの勉強をするべきではないかということです。

特に、起業してからしばらくは経理などの雑務のために人を雇う余裕が無いのではないかという不安などから、経理処理の勉強や簿記の資格を取得したほうが良いのではないかというご質問をいただくことがあります。
ケースにもよりますが、簿記などの雑務の勉強に時間を費やすことは賢明ではないこともあるようです。
時間が限られているならば、まずは簿記などよりマーケティングや営業のスキルアップを図ったほうがよいかもしれません。

なぜ簿記よりもマーケティングや営業のスキルのほうが重要だと考えるのでしょうか。
それは第一に起業間もない頃の、起業家の一番の大きな悩みは殆どの場合で「売り上げが上がらない」ということが多いからです。

成功された起業家の体験本などを読むと、起業後すぐに売り上げを安定させ、事業を軌道に乗せる起業家がいるでしょう。
実際に現在成功している企業の中にはそのようなスピード力のある会社があることは間違いありません。
しかし売り上げを多く上げている方はほとんど、「マーケティング・営業のスキルがある方」だと思います。

簿記などが特に重要となってくるのは、ほとんどの場合は収益がそれなりに上がってきてからのタイミングです。
収益があれば作業を外注したり、人を雇ってお願いしたりすることで解決するため、簿記を勉強しなくともなんとかなる場合が多いのです。

売上が上がらないという段階はとても精神的にきつくなります。
これは経理などの問題で苦労するよりもずっと大変なことでしょう。
こんな状態を避けるためにも、独立前・安定収入のある時期に、マーケティングや営業スキルをためておくべきではないかと思います。

もちろん簿記などの知識が無駄だと言っているわけではありません。

簿記などをある程度理解しておくことで、帳簿の見方も分かるようになります。
トラブル防止などの観点で帳簿をチェックするためにも、簿記の知識は無駄ではないことから、時間があれば多少勉強しておくのもよいかもしれません。

起業の動機は?

起業することへのハードルがずいぶんと下がりました。
会社で経験を積んだ方が経営コンサルタントとして独立したり、占い好きな主婦が占い師として起業するなんてことも聞きます。
SNSでの自己宣伝が功を奏して、順調に起業家として生きる方も大勢います。

けれど、実は起業が成功するのは5%も満たないという数字が出ているのです。
たった5%に自分が入ることができるのか。
不安が先に立つとやっぱり起業しようとは思わなくなります。

でも、それは思い立ったら吉日とばかりに何の戦略もなしに始めたとか、予備知識もなしに始めた、甘く考えすぎたなど、考えるべきことを放棄した結果だとしたら‥‥‥。
ビジネスプランとしてまず何年計画でやって成功に持っていくのかも考えていないようでは、成功するものも成功しません。

資金面でもそうです。
これから起業しようという人が税金の払い方も知らなければ、月の小遣い帳すら付けていないとなると、不安しかありません。

またどんな人間になりたいのかも再考して欲しいところ。
ただキラキラとした生き方をしたいとか、社長になりたい、人に使われたくないという動機では、起業するのは難しいかもしれません。

「何をやりたいか」「何を世に問いたいか」この二つに答えてみましょう。
世の中に売り出したいモノやアイディアを持っている方なら、それをどのように売っていくかと考えをつなげてください。

「社長になりたい」「キラキラしたい」では、事務所を見栄えの良い場所にするとかバカにされないような家具を買うなど形から入ってしまいがち。
実際にこのような人がいるのが起業の世界。これでは最初にいくら自己資金を持っていても無駄になってしまいます。
資金は家具より自分の「売りたい何か」につぎ込むべきです。